介護スクール卒業後の勤務先は?どんな職場があるのか解説!
介護士として働くなら、数ある施設の中から勤務先を選ぶ必要があります。施設によって入居者さんの特徴や介護度に違いがあります。また、介護士が行う業務内容にも差があります。そのため、勤務先を決める時点で各施設の特徴などを理解しておくと、働き始めてから不満を感じることもないでしょう。今回は8つの勤務先について詳しく解説します。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは一般的には「特養」と呼ばれています。施設の規模は大きく、入居者・スタッフともに人数が多いのが特徴です。特養への入居は、65歳以上で要介護3~5の高齢者です。
認知症や寝たきりなどの重度の介護が必要な人が多いため、主な業務は入浴・食事・排泄などの日常生活全般の支援です。スタッフ数が多いため、新人介護士への指導体制は整っています。分からないことは先輩に聞きやすく、独り立ちまでの期間も長めに設定されているので、しっかりと介護の基礎を学べます。
ただし、大人数の入居者さんたちの介助をするので大変忙しく、勤務時間中はひたすら体を動かしている状態だといえます。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は「老健」とも呼ばれています。特養は一度入れば期限なくずっと入居できますが、老健は病院を退院した後に在宅復帰を目指して一時的に入居し、リハビリや医療ケアを行う場所です。そのため、基本的には3~6か月ほどで退所となります。入居者さんの入れ替わりが激しいので、たくさんの人とコミュニケーションを取りたいという人は向いている職場です。
入居者さんは、在宅介護を目指す高齢者が多いため、特養よりは介護度の軽い人が多いのが特徴です。業務内容は特養と同じく、日常生活のサポートです。また、医療ケアやリハビリのお手伝いをする機会が多いため、介護だけでなく医療やリハビリ分野の知識を深めることができます。
有料老人ホーム
有料老人ホームは民間の企業が運営している施設で、日常生活の支援を行う場所です。「介護付き老人ホーム」「住宅型老人ホーム」「健康型老人ホーム」の3種類があり、自立~要介護5までの幅広い介護度の高齢者が入居しています。
そのため、見守りや付き添いといった軽度の支援から、寝たきりの方の身体介護まで、広範囲の介護に携わります。特養や老健と違い、居室は個室になっているので入居者さんのプライバシーは確保されていて、施設の中でも自宅のように暮らせる場所です。「終の棲家」として入居される人も多いので、ゆとりのある暮らしを求めている入居さんが多いのも特徴です。
グループホーム
グループホームは65歳以上、要支援2以上の認知症を持つ人が入居できる施設です。1ユニットに5~9人ほどで施設自体は多くても2ユニットと、少人数制のため1人1人に対応したケアができる場所です。入居者さんは認知症の進行を遅らせることなどを目的に、生活リハビリとしてスタッフと一緒にご飯を作ったり掃除をしたりしながら、家庭的な雰囲気での共同生活を行います。
グループホームではスタッフが入居者さんたちの食事を作るところも多いので、料理がまったくできないという人は慣れるまでは厳しいかもしれません。ただ、認知症の人へのケアや知識は深めることができます。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、自立や介護度が軽度の高齢者が多く、60歳以上であれば入居できます。施設はバリアフリーの建物で、建物内に生活相談員が常駐します。自立した人が多いので安否確認や見守り、生活の相談にのることが主な仕事です。
ただし、施設によっては身体介護が必要な場合もあります。常勤や非常勤、派遣などさまざまな形態での求人も多いので、自分に合った働き方ができるのも嬉しいポイントです。
デイサービス
デイサービスは、デイサービスセンターで食事・入浴・レクレーション・機能訓練などを行い帰宅する通所タイプの介護施設です。通所サービスのため、比較的自立した人が多く、介護の負担はそこまでは多くありません。
ただし、他の施設と違って利用者さんの送迎という業務があります。そのため、とくに男性スタッフは運転免許が必須という条件を提示する施設があり、ハイエースなどの大型車の運転を任されることもあります。24時間勤務が多い介護業界ですがデイサービスは夜勤がなく、休日も日曜日+平日といったシフトが多いので予定を立てやすいといえます。年末年始は休みになるなどカレンダーに近い休日がとれます。
訪問介護事業所
訪問介護事業所は、介護士が利用者さんの自宅に出向いて、自宅での支援を行います。要支援の比較的自立した人から介護度が重い人まで幅広く利用できる支援サービスです。主な業務は生活介助と身体介助に分けられます。生活介助とは、必要な買い物をする、料理を作り置きしておくなどをサポートのことです。また、家族の代わりに通院のお手伝いや選挙の付き添いに行くこともあります。
一方の身体介助は入浴や排泄のサポートを行います。訪問介護では、決められた時間内に買い物や料理を済まさないといけないので、効率よく業務をこなす必要があります。ただ、他の施設と違って直行直帰ができたり、日中の数時間だけ働けたりと、主婦でも働きやすい環境といえます。
病院
介護施設ではない一般の病院でも介護士は働くことができます。高齢者の入院が多い病院では、医療的なケアは医師や看護師が主に行いますが、患者さんの身の回りのケアは介護士が担っている病院も多くあります。食事・入浴・排泄の生活のサポートのほか、シーツを交換するなどのベッドケアや掃除などを行うこともあります。施設と違って病院は、介護の知識や経験を積めるだけでなく、医療についても詳しくなれるので、医療方面にも興味がある人は向いているでしょう。
介護スクール卒業後に働きやすい8つの勤務先を解説しました。施設によって入居者さんの状態や介護の理念が異なります。自分はどんな介護をしていきたいのか、どのように入居者さんと関わっていきたいのかを考えれば、必然と自分に合った勤務先が見えてくることでしょう。ぜひ自分に合った場所で介護の技術を磨いていってくださいね